1. MTBI(軽度外傷性脳損傷)とは?
事故や転倒などで頭部に強い衝撃(振動やひねり)が加わることで、脳の神経線維がダメージを受ける病気です。
- 「軽度」と呼ばれる理由: 画像検査(一般的なCTやMRI)で大きな出血や骨折が見られないため、医学分類上「軽度」と表記されます。
- 実際の症状: 名称に「軽度」とつきますが、日常・社会生活に深刻な支障をきたす高次脳機能障害や身体症状が残るケースが少なくありません。
2. なぜ「見えづらい障害」と言われるのか?
- 一般的な検査で異常が出にくい 脳のミクロな神経線維の損傷であるため、標準的なCTやMRIでは「異常なし」と診断されがちです。
- 見た目では分かりにくい 片麻痺などの身体的変化がない場合、周囲から「元気に戻った」「問題なさそう」と誤解されやすくなります。
- 周囲の理解が得られにくい 本人がつらさを感じていても、家族や職場・学校から「気の持ちよう」「なまけている」と捉えられてしまう孤立感が生じやすい特徴があります。
3. 主な症状(身体・認知・感情のサイン)
MTBIの症状は多岐にわたり、事故直後だけでなく時間が経ってから目立つこともあります。
| 分類 | 主な具体例 |
|---|---|
| 身体症状 | 慢性的な頭痛・めまい、強い疲労感、光や音への過敏、睡眠障害、平衡感覚の悪化など |
| 高次脳機能障害 | 記憶障害(覚えていられない)、注意障害(集中が続かない・ミスが増える)、遂行機能障害(計画を立てて順序立てて行動できない) |
| 感情・行動の変化 | イライラしやすくなる、感情のコントロールが難しくなる、意欲の低下、抑うつ傾向 |
4. 主な原因
- 交通事故(自転車や自動車の衝突・追突、頭部打撲)
- スポーツ中の頭部衝突・コンタクト(ラグビー、サッカー、格闘技など)
- 高所からの転落・転倒
- 暴力や作業現場での事故
5. 当事者・ご家族へのメッセージ
MTBIは「目に見えない困難」を抱える障害です。
「検査で異常がないから」とあきらめず、高次脳機能障害に詳しい専門医(脳神経外科、リハビリテーション科、精神神経科など)を受診することが第一歩となります。
当会では、片麻痺や頭部外傷に伴う障害を持つ方々が情報を共有し、孤立せずに歩んでいける場を目指しています。一人で抱え込まず、気軽につながってください。
ホームページのレイアウトやターゲット(当事者向け/一般の方向け)に合わせて、文字の強弱や補足文を微調整してご掲載ください。
【事例】
【実例1】見た目は元気そうに見えて、だれにも信じてもらえなかったAさん(40代・会社員)
「車を運転しているときに、後ろからトラックにドーンと追突されたんです。首のムチウチと頭を強く打ったんですが、病院でCTやMRIを撮っても『頭の中に大きな出血や骨折はないですね』と言われて一安心……したはずでした。
でも、職場に復帰してからがおかしくなってしまって。簡単な仕事の順番が分からなくなったり、いつも通りの計算でミスを連発したりするようになったんです。会社のパソコンの画面や蛍光灯の光を見るだけで、強いめまいと吐き気がして立っていられないこともありました。
一番つらかったのは、外見からは怪我をしているように見えないことです。職場の人や家族からも『事故のショックで心が弱ってるだけじゃない?』『気の持ちようだよ』と言われてしまって……。当時は自分の身体に起きていることが説明できず、本当に孤独でした。」
※MTBIの症状やあらわれ方には個人差があります
【実例2】事故からしばらく経ってから、少しずつ生活がおかしくなったBさん(50代・主婦)
「自転車に乗っていて、段差につまずいて派手に転んで頭を打ちました。一瞬気が遠くなりましたが、病院に行っても『異常なし』と言われたので、大したことないと思い込んでいたんです。
異変が出てきたのは、事故からしばらく経ってからです。スーパーに行っても『あれ、何買いに来たんだっけ?』と思い出せなくなったり、夕飯の準備で2つの鍋を同時に調理できなくなったり。それに、自分でもびっくりするくらいイライラしやすくなって、家族にカッとなって怒りをぶつけてしまうことが増えました。
事故の直後は『問題ない』って言われていたから、周囲からも『急にボケてしまったんじゃないか』『性格が変わってしまった』と思われて……。私自身も『自分がダメになってしまったんじゃないか』と、ずっと自分を責め続けていました。」
※MTBIの症状やあらわれ方には個人差があります
【実例3】スポーツの練習中に頭をぶつけ、授業についていけなくなったCさん(20代・学生)
「部活の試合中に相手の選手と頭同士で激しくぶつかりました。その場ではクラッとしたものの自力で立てたので、そのままにしてしまったんです。
でも、翌日から大学の授業に出ていても、まったく集中できなくなりました。教科書の文章を目で追っても、頭の中に全然内容が入ってこないんです。常に頭の中に霧がかかったみたいにボーッとして、夜も眠れず、朝も起き上がれなくなってしまいました。
周りの友達からは『若いんだからすぐ治るよ』とか『ただのサボりじゃない?』って笑われてしまって。単位も落としそうになって、将来の就職のことも考えると、毎日不安で押しつぶされそうでした。」
※MTBIの症状やあらわれ方には個人差があります
